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環境保護思想と"deep ecology"
- 2005/05/12(Thu) -
この前の北欧哲学の授業で、次のような思想を学んだ。

その名も"deep ecology"。

もちろん環境保護の思想ではあるのだが、"deep"なのだからかなりの徹底したものだ。

"deep ecology"では、いわゆる『エコロジー』は不徹底なものだとされる。

ゴミの分別とリサイクル、無駄遣いの自制。二酸化炭素排出の規制など、キリがない。
最近愛知ではご存知『愛・地球博』という環境をテーマにした万博も開かれている。
さらにいえば、資源枯渇の危惧などから、合理性の高い経済面でも環境保護の風潮は強まっている。

こんなに普及する環境保護の意識。しかし、"deep ecology"では、あくまで人間中心的な不完全な物だとされるのだ。

なぜなら、先に述べた環境保護の風潮では、自己犠牲してまで環境を保護するという考えはない。あくまで、自分たちの既存の生活は肯定し、保持していこうという前提に立っている。電気を使い、自動車に乗り、…この生活自体は否定されない。

完全な環境保護を目指すなら、そもそも現在の人類は多すぎる。人口爆発は、食料調達のための生態系の破壊、エネルギーの大量使用による枯渇、二酸化炭素の大量排出による温暖化。さまざまな環境破壊を必然的に引き起こす。

元来の人類は、地球生態系のなかでどうあるべきなのか。ここに視点を移すのが"deep ecology"だ。
今の環境保護思想は、人間中心であると述べた。これは同時に、自然・地球を人間より下にみていることを示す。

人間は今まで、自然を征服して生きてきた。後に世界の中心となるヨーロッパが、厳しい自然条件であったのだから、仕方がない。
キリスト教ユダヤ教といった宗教においても、人間の上の立場に自然が立つといったことは有り得ない。上に立つのは神のみである。
自然は人間が利用する物であり、人間が便利に生きるための道具であるという考え方。

しかし"deep ecology"的な視点に立つと、この常識は愚かな物となる。
所詮人間など小さな存在で、自然と一体であり、言いかえれば、生態系のなかの一つの生物だ。
だから人間はそういうスタンスでつつましやかに生きるべきであり、また、他の生物とも平等の存在だというのかもしれない。

自然と一体。つまり自然に埋没するということ。これは非常に難しい。
ある意味、日本の的思想かもしれない。
先ほどヨーロッパは自然が厳しかったと述べたが、日本はそうではないだろう。花鳥風月という言葉があるように、日本は四季折々の豊かな自然など、自然を愛でる風潮が強い。
禅では、自然と自我の対立を克服することを基幹の目的においているように思う。

生態系の中で、つまり食物連鎖という現象を考えて、人間は果たしてどこの位置に居るべきなのか。
現在は当然、強制的に頂上に置かれている。
ライオンだろうがサメだろうが、檻や水槽に入れてしまうのだ。

しかし人間はそんなに強くはない。
頂上は適した場所ではないのか。


ここで、ちょっと考え方を変えてみる。
世の中の現象は、全て必然ではないのだろうか。

人類がこのような状態になったのは、必然ではないか。

人間は弱い存在だったから、自らを守るために、脳を発達させ、道具を作り、火を発明した。
どのような生物も本能に操られている。
だから人間が自然を征服し、生態系でトップになりえたのも、本能による必然であるだろう。

つまり、人間は自らの利益のため、動いているのである。いや、動かされているのである。
それが、本能である。

いわゆる「神」は、自らの本能であるかもしれない。

地球環境を保護することは、本能によって妥当と判断されたからこそ、動き始めた風潮である。
だから、自己犠牲を視野に入れることはありえない。

だから"deep ecology"は、否定されるのではないか、と私は思う。

これから、人間の本能は、どう動いてゆくのだろうか。
自らを守るために、環境を保護することが必要と判断したところで、どのようにその矛盾を解消してゆくのか。


”なるようになる”これはまさに、人類の明日を示している。


必然はどういう歴史を刻みつけてゆくのか。


つまり、本能はどういう計算式を元に動いているのか。
そして自然はどういう反応を示すのか。


禅の思想、自然と自我の対立の克服は、人類の最も根幹にある命題だと感じる。
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